ベークライトとは?ベークライトの加工方法や特性、用途などについて解説
2025年2月10日
ベークライトは、世界初の合成樹脂として誕生し、現在もさまざまな分野で活用されている素材です。耐熱性や電気絶縁性、高い機械的強度など、優れた特性がある一方で、吸水性や耐候性が低いといった短所もあります。
この記事では、ベークライトの基本的な特性に加え、具体的な用途や加工方法、長所・短所などについて詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。
ベークライトとは

ベークライトは「フェノール樹脂」を基材とする熱硬化性樹脂に分類されるプラスチックで、1907年に世界で初めて商業化された合成樹脂です。エンジニアリングプラスチック(エンプラ)の一種で、フェノールとホルムアルデヒドを主成分としています。
耐熱性(約120℃)、電気絶縁性、機械的強度、耐酸性に優れ、多くの工業製品や電気機器部品に使用されてきました。ただし、脆くて割れやすい、湿気による吸水性や寸法変化、硬化後の再加工ができない点がデメリットです。
ベークライトには紙や布を基材にした「紙ベークライト」や「布ベークライト」があり、それぞれ紙ベークは電気絶縁性に優れ、布ベークは耐衝撃性に優れています。
現在は、高性能な熱可塑性樹脂の登場により用途が縮小していますが、絶縁性や耐熱性を活かした積層板として、精密機械や電気機器分野で活用されています。コストパフォーマンスにも優れており、カスタマイズ性の高さも特徴です。
ベークライトの種類
ベークライトには、「紙ベークライト」と「布ベークライト」の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。用途や性能のニーズに合わせて、適切な種類を選ぶことが大切です。
紙ベークライト
紙ベークライトは、フェノール樹脂を紙に塗布して熱硬化させたベークライトで、軽量で加工性が高い点が特徴です。主に電子機器や電気部品の絶縁材として利用され、プリント基板や配電盤などで広く採用されています。
また、製造コストが比較的安価なため、大量生産や予算に制約がある製品に適しています。しかし、耐衝撃性や機械的強度は布ベークライトに劣るため、使用環境に合わせた選定が重要です。
布ベークライト
布ベークライトは、フェノール樹脂を布に塗布して熱硬化させたベークライトで、紙ベークライトよりも耐衝撃性が優れています。
また、機械的強度が高いため、機械部品や金属の代替として使用されることが多く、特に摩耗や衝撃が加わる部品に適しています。
紙ベークライトに比べて調達コストは高くなりますが、過酷な使用条件下での信頼性に優れているため、高負荷の環境で活用されることが多いです。
ベークライトの特性

ベークライトの特性にはさまざまな優れた特性があります。ここでは、ベークライトの代表的な特性について解説していきます。
耐熱性
ベークライトは、150〜180℃の高温にも耐えられる優れた耐熱性を持ちます。熱による劣化が少なく、加熱工程が必要な部品や高温環境下での使用に適しています。ただし、一度硬化すると熱可塑性樹脂のように再溶解して再形成することはできません。
電気絶縁性
ベークライトは優れた電気絶縁性を持ち、絶縁体として幅広く利用されています。また、外部からの電気的影響を受けにくい特性があり、電気機器や精密機器の内部を保護する役割にも向いています。
機械的強度
ベークライトは硬度が高く、衝撃や摩耗に耐える機械的強度に優れています。特に布ベークライトは紙ベークライトよりも強度が高く、耐衝撃性を求められる過酷な環境でも活躍します。一方で、ベークライトは積層板であるため、垂直方向は優れた強度を発揮しますが、並行方向では強度が弱くなることには注意が必要です。
加工性
ベークライトは熱硬化性樹脂でありながら、切削加工や射出成形ができます。寸法安定性が高く、精密な形状の部品に加工しやすい点が特徴です。ただし、硬度が高いため刃物に負担がかかることや、切粉処理への注意が必要です。
ベークライトの長所・短所

ベークライトは、優れた特性を持つことで知られる熱硬化性樹脂ですが、長所だけでなく短所も存在します。ここでは、ベークライトの長所と短所について解説します。
長所
まずベークライトの長所を解説します。
価格が安い
エンジニアリングプラスチックの中でもベークライトは特に価格が安く、コストパフォーマンスが高いです。特に、布ベークライトよりも紙ベークライトの方が安価です。また、優れた加工性を備えているため、形状が複雑な部品であっても、比較的低コストでの製作ができます。コスト効率の高さから、予算を抑えた製品開発に最適な材料の一つといえます。
耐熱性、電気絶縁性、機械的強度に優れる
上記の特性でも紹介したように、ベークライトは、耐熱性、電気絶縁性、機械的強度に優れた素材です。
高温環境でも形状を保つ耐熱性は、過酷な条件下での使用に最適です。また、電気を通さない優れた電気絶縁性により、電子機器や電気部品での安全性を確保できます。多くの化学物質に耐え、腐食に強い耐薬品性も特徴です。
このような特性を兼ね備えたベークライトは、電気部品や自動車の内部パーツ、工業用資材など、さまざまな産業で利用される存在となっています。
短所
ベークライトの短所を解説します。
耐候性が低い
環境条件に対する耐性の低さは、ベークライトの短所の一つです。特に紫外線へ晒されると表面劣化を引き起こし、製品の変色や亀裂の原因となります。また、温度変化や湿度の影響も受けやすく、過酷な環境下での使用は避ける方が良いです。屋外での長期使用はおすすめできない素材です。
吸水性が高い
ベークライトは内部に紙や布を含むため、水分の影響を受けやすいです。湿度の高い環境や水分との接触が予想される用途には不向きといえます。水分を吸収すると、製品寸法の変化や絶縁性の低下を引き起こす可能性があるため、特に精密機器や電子部品への使用時には十分な注意が必要です。
耐候性が低いためアルカリ系溶剤に弱い
ベークライトはアルカリ系溶剤に対する耐性が低いことも特徴です。アルカリ系溶剤との接触は表面の変質や強度低下を引き起こし、部品の寿命を著しく縮める可能性があります。そのため、アルカリ性環境での使用を検討する際は、適切な保護措置を講じるか、より耐性の高い代替材料を選択することがおすすめです。
リサイクルが難しい
ベークライトは、熱硬化性樹脂としての性質上、一度硬化させて成形すると再加工が困難です。そのため、使用済み製品は基本的に廃棄処分となります。ベークライトを使用する際には、処理方法や廃棄手段を事前に検討し、計画を立てておくことが大切です。環境負荷の観点からは課題が残りますが、現在ではリサイクル技術の研究開発を進めており、将来的な解決策の確立が期待されています。
ベークライトの用途

ベークライトは、その優れた耐熱性や電気絶縁性、機械的強度を活かし、さまざまな分野で活用されています。ここでは、ベークライトの具体的な用途について紹介します。
電気機器や電子機器
ベークライトは高い電気絶縁性能を持つ素材として、電気・電子分野の絶縁部品において幅広く使われています。例えば、プリント配線基板、トランス、コイル、配電盤、変圧器、遮断器などの電気設備に使用されています。
機械内部などの部品
ベークライトは、優れた硬度と強度を持つため、治具用素材や金属代替素材として使用されています。また、180℃程度まで性能を安定して維持できる耐熱性を持っているため、熱が発生しやすい自動車の内部部品や工業機械の部品に最適です。特に布ベークライトは高強度と耐衝撃性を活かし、ギアやベアリング、スタータといった耐久性が求められる用途で活躍しています。
化学分野や材料
ベークライトは、接着剤や塗料、鋳造加工に用いるシェルモールド用樹脂として活用されています。また、切削加工や成形加工が容易なため、設計開発や試作品製作の場面でも非常に有用な素材として重宝されています。また最近では、EV用リチウムイオン電池やフォトレジスト材料などでも注目されている素材です。
ベークライトの加工方法

ベークライトの加工にはいくつかのポイントと注意が必要です。ここでは、ベークライトの代表的な加工方法とその際の注意点について解説します。
加工手順
1.NCデータを用意
加工する製品の図面を基にNCデータを作成します。このデータは、使用する工具の種類、工具の動く方向、加工速度、回転数などを設定したものです。ベークライトの特性を考慮して設定するようにします。
2.材料を用意
製品の仕様に合った厚さやタイプのベークライトを用意します。紙ベークライトが適しているのか布ベークライトが適しているのかしっかりと見極めましょう。加工代を含めたサイズを用意するため、必要なサイズよりも少し大きめに切断して準備します。
3.切削を行う
準備した材料を機械にセットし、設定したNCデータに基づいて切削加工を行います。マシニングセンタを使用している場合は、ATC(自動工具交換装置)を備えているため、加工内容に応じて工具を自動で交換できます。
4.仕上げ・検査
切削後は、バリの除去や面取りなど、製品の仕上げを行います。その後製品図面に基づいて寸法や穴径などを測定し、加工精度が基準を満たしているかを検査します。
切削加工の注意点
ベークライトを切削加工する際は、その特性に応じた適切な方法と環境整備が求められます。まず、ベークライトは硬度が高く、一般的な工具では加工が難しいため、超硬エンドミルやダイヤモンドコーティング工具など、耐摩耗性に優れた工具を使用する必要があります。
また、加工中に発生する熱が樹脂を軟化させないよう、エアブローによる冷却を行うことで、精度を保ち仕上がり品質を向上させることも大切です。
さらに、ベークライトは積層板であるため、層に並行な力は弱いことにも注意が必要です。剥離が生じやすく、製品の強度が低下するリスクがあります。切削条件の設定や加工方向には十分な配慮が必要です。
作業環境は、切削時に大量の粉塵が発生するため、集塵装置の設置や防塵対策を徹底し、作業者の健康被害や機械故障を防ぐ必要があります。
また、ベークライトの吸水性や耐候性の低さを考慮し、加工後は乾燥した環境で保管し、紫外線や湿気から製品を守りましょう。
まとめ
ベークライトは、耐熱性や電気絶縁性、機械的強度に優れた素材であり、電気・電子機器の絶縁部品や自動車部品、工業材料など、さまざまな用途で活用されています。一方で、吸水性や耐候性の低さ、リサイクルの難しさといった課題もあります。しかし、加工の工夫や適切な対策を講じることで、その特性を最大限に活かすことが可能です。
株式会社タキオンワタナベは、最先端の加工設備と徹底した品質管理体制を備え、試作品の製作から小規模・中規模の量産まで柔軟に対応できる総合カスタムメーカーです。電気・電子機器、半導体、医療機器など幅広い産業分野で培った豊富な経験を活かし、お客様のニーズに合わせた最適な製造プロセスをご提案いたします。
ベークライトは優れた特性を持つ一方で、加工においては高い技術力と適切な管理体制が必要です。タキオンワタナベでは熟練した技術者が、精度の高い加工を実現し、品質を保証いたします。ベークライトに関するご相談やご質問がございましたら、ぜひ株式会社タキオンワタナベまでお気軽にお問い合わせください。